10年後なら難しいだろうという危機感がありました


 山の不思議な話をまとめようと思い立ったのは7、8年前。マタギなどの猟師の宴会に参加すると、時々、山の不思議な話が出てくる。わずかな話なので深くは意識しなかったが、印象にはすごく残った、という。「たとえば、『山の中に土管があって、それが動く。よく見ると蛇だった』というような話。次の年に行くと、その話が少し変わって面白くなっている。小さな話の種が芽を出して、時間が加わって成長していく。民話は、こんな形から始まったのではないかと思った」と語る。

https://mangania.jp/ja/users/843   日本の山村では、ここ5年ほどの間、急速に空き家が増えている。東北に限らず、全国的な傾向だという。「高齢化と過疎化が進み、山の中はものすごい勢いで人がいなくなっている。いまのうちならば、まだ話を集めることができる。いま話を聞いておかないと逸話は忘れ去られてしまう。10年後なら難しいだろうという危機感がありました」

http://www.sharedmemo.com/mgfjhfd/ http://y-watch.net/member/mgfjhfd/ 体験談は、可能な限り実名にした。「匿名の作り話ならいくらでもできる。これまで延々とやってきた取材の延長上にあるものなので、実名にこだわった。匿名にした話もあるが、まだ遺族がいるとか、子どもが関係しているような場合です。あと、山小屋と避難小屋は名前を出しませんでした。名前を特定すると、怖くて入れなくなるからやめてくれと言われたので」と笑う。